日帰りポリープ切除手術
大腸ポリープの多くは腺腫ですが、これは放置していると一部ががん化する可能性がある前がん病変です。当院では、大腸ポリープの日帰り切除手術を行っています。また、大腸カメラ検査中に発見した大腸ポリープは高度な画像処理などを用いて精緻に観察して切除が必要と判断された場合には、その場で日帰り手術による切除も可能です。
大腸がんは進行が比較的ゆっくりしていますが、進行がんになってしまうとリンパ節や他臓器への転移を起こして大変な治療が必要になりますし、命の危険につながることもあります。現在、がんによる死亡原因としても近年、上位を占めています。ただし、大腸がんは早期に発見することで日常や仕事に影響しない楽な治療でほとんどの場合は完治可能ですし、ポリープの段階で切除することで予防もできます。
安全性の高い日帰りポリープ切除
当院では、特殊な光や画像処理によって微小な病変や変化を発見可能な高性能の内視鏡システムを導入しています。また、検査は2万例以上の内視鏡検査や治療を経験してきた院長が行っており、高度な技術を用いて丁寧に検査、処置、治療しています。また、発見した大腸ポリープは、サイズ、形、構造などを詳細に観察して、切除の必要性や適切な切除手法を判断しています。大腸ポリープの切除は日帰り手術が行われるほど侵襲が少ないという特徴がありますが、当院ではより安全性を高めた切除を行っています。
なお、まれですが、ポリープの大きさや形状などによっては日帰り手術による切除が適切ではないケースも存在します。出血する可能性が高い、がんの疑いがある、きれいに取り切れない可能性がある、サイズが大きい、数が多い、深い場所に食い込んでいるなどの場合には、地域連携している高度医療機関をご紹介してスムーズな治療を受けていただけるようにしています。
大腸がんの有効な予防法
大腸がんのほとんどは、良性の大腸ポリープが放置されて一部ががん化して発生し、ゆっくり増殖して進行します。大腸ポリープでは腺腫が最も多く、腺腫自体は良性ですが、がんになることがあります。そのため、良性の大腸ポリープでも腺腫が疑われる場合には発見したその場で切除することで将来の大腸がん予防に役立ちます。
切除方法
ポリープの形状などによって、適した切除手法が異なります。当院では詳細に観察した上で適切な切除方法を選択し、より安全な切除を心がけています。
コールドポリペクトミー
当院で最も多く行われている切除方法です。ワイヤー状の特殊なスネアを内視鏡スコープの先から出してポリープにかけ、締めつけて切除します。切除時に多少の出血を起こすことはありますが、止血処置をすることで出血は止まります。高周波電流を使わないため下層に熱が伝わることがなく、術後しばらく経過してからの出血や腸壁の穿孔などを起こす危険性がなく、安全性の高い手法です。
比較的小さいポリープに適していて、複数の切除を安全に行うことができます。また、血液をサラサラにする抗血栓薬を服用している方、心臓ペースーメーカーや金属ステントを留置している場合にも切除が可能です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリープは隆起しているものが多いのですが、早期には特に平坦であるケースが多く、そのままではスネアがかからないことがあります。そうした際には、内視鏡の先から注射によってポリープの下に生理食塩水を注入し、ポリープを隆起させた上でスネアをかけて高周波電流によって切除します。この場合、高周波電流を流しても下に生理食塩水がありますので下層に熱が伝わることがなく、安全な切除が可能です。切除したら止血処置を行うこともあります。
大腸ポリープの内視鏡切除後の合併症について
高周波電流を用いて焼き切るのは電気メスと同様に血管を焼きながら切除するため、切除による出血が少なくなります。ただし、粘膜の下まで熱が伝わりやすく、それによって手術後、ある程度の時間が経過してから出血や腸壁に穴が開く穿孔を起こしやすい傾向があります。こうした合併症を起こしやすい時期は、切除後数日以内で、1週間後以降には発症する可能性が減っていきます。
また、こうした合併症を防ぐためには、切除後の注意点をしっかり守っていただくことも重要です。
ポリープ切除後の食事と注意点
ポリープ切除後の数日間は、出血や穿孔を起こす可能性がありますので、それを防止するためにはいくつかの注意点や制限をしっかり守ることが重要です。安全性が高く侵襲が少ないとはいえ手術ですから、合併症を防ぐために下記をお守りください。
また、ポリープ切除や大腸カメラ検査を受ける場合には、こうした制限を守ることができるようスケジュールを決めてください。当院ではあらかじめ制限についてもくわしくご説明してからご予約をおすすめしています。
アルコール
切除後、数日間は禁酒を守ってください。飲酒は血流を促進して出血リスクを上昇させます。ただし、ノンアルコールであれば飲んでいただいて大丈夫です。
運動や腹圧のかかる行動
腹圧がかかると出血や穿孔などを起こすリスクが上昇します。ほとんどの運動やスポーツ、力仕事、重いものを持ち上げるのは切除後、1週間は控えてください。また腹部を強く締めつける衣類も厳禁です。
旅行・出張・長距離移動
座ったまま長時間過ごすことは、腹圧上昇に悪影響を及ぼすため、旅行や出張、長距離移動・運転は切除後の1週間、控えてください。また、飛行機は気圧の影響で腹圧が上昇しますので、短時間でも控えてください。
入浴
翌日から可能です。当日は軽くシャワーを浴びる程度でしたら可能です。
食事
当日は消化の良いものを少量食べてください。熱いもの、辛いものなど、刺激が強いものは控えてください。
腹痛、血便、発熱などがあった場合には、すぐにご連絡ください。また休診日や時間外の場合は、お近くの休日診療所や時間外診療を行っている病院を受診してください。