げっぷやおならでお困りの方へ

人は食事の際に食べ物と一緒に空気も飲み込みます。また、十二指腸では膵液によって胃酸を中和してくれますが、その中和させる際にガスが発生してしまいます。さらに腸内では消化が進む際に腸内細菌叢・腸内フローラによって発酵が進みますので腸内細菌叢が原因となってガスが発生してしまいます。
健康な人の場合は、体内にあるガスの9割程度は腸壁から血管へ吸収されて肺から体外に排出され、残りの1割はげっぷやおならとして体外に排出されると言われています。そのため、このバランスが崩れてしまうとげっぷやおならの回数が増えることになります。げっぷやおならの回数が増えて気になっている方がいらっしゃいましたらぜひ最後までご確認してください。
緊急性が高くないげっぷやおならとは?
以下のような項目に該当する場合は、げっぷやおならが生じる原因がはっきりしているため、先ずは様子をみていただくだけでも問題は無いかと思います。ただ、症状が長引く際はお早めにご相談してください。
- つい早食いをしてしまう
- 人よりも食べるのが早い
- 食事の栄養バランスが偏っている
- 炭酸飲料をよく好んで飲んでいる
- ストレスや緊張を感じやすい
- 猫背である
病院で診察が必要なげっぷやおならとは?
以下のような項目に該当する場合はお早めに消化器内科を標榜しているクリニックで受診してください。
- げっぷと一緒に胃もたれ、胸焼けがする
- おならと一緒に便秘、下痢、腹痛を感じる
- げっぷやおならが出続ける
- おならがここ最近でない
特に、お腹が張っているのにおならが全く出ない場合は何かしらの病気が原因となっている可能性があります。
また、げっぷやおならが慢性的に続く場合も何かしらの消化器系の病気が原因となっている可能性があります。お早めにご相談ください。
げっぷを伴う消化器疾患とは?
食道裂孔ヘルニア
胸郭と腹腔を隔てる薄い筋肉の横隔膜には、食道を通す穴が開いています。これを食道裂孔と言い、何らかの理由で胃の一部が胸郭側へ飛び出してしまうことを食道裂孔ヘルニアです。食道裂孔ヘルニアが生じると下部食道括約筋の働きが弱くなってしまい、その結果としてげっぷが出やすくなります。
逆流性食道炎

胃にある強酸性の胃液が胃の内容物と一緒に食道に逆流し続けてしまうことで食道粘膜で炎症が生じるのを逆流性食道炎と言います。げっぷや呑酸(酸っぱいげっぷ)、胸焼け、心窩部痛(みぞおちの痛み)などの症状の他に、のどの違和感、慢性的に続く咳などがあります。
機能性ディスペプシア
胃痛、胸焼け、げっぷ、胃の膨満感など症状を感じていても、検査をしても特に異常が見当たらない場合は機能性ディスペプシアの可能性が高いです。胃のぜん動運動などの運動機能や知覚機能などが何らかの原因で障害されるために発症すると言われています。機能性ディスペプシアの発症原因の一つにストレスや過労などがあります。
おならがよく出やすい病気
機能性便秘
腸管の運動機能や知覚機能が低下してしまっている状態で便秘になると、便が大腸内で長時間停滞することになりますので発酵によってガスが通常よりも発生してしまいます。そのため、おならの回数が増えたり、お腹の膨満感(お腹の張り)などの症状が生じます。
過敏性腸症候群
腹痛に加えて下痢や便秘、下痢と便秘の繰り返し、お腹の膨満感(お腹の張り)やおならの回数が増えるなどの症状をていても、検査をしても特に大腸に異常が見つからない場合は過敏性腸症候群の可能性が高いです。過敏性腸症候群は腸管の運動機能や知覚機能が低下してしまっていることで生じると言われています。
呑気症
食事の際に空気を食べ物と一緒に飲み込んでしまいますが、飲み込む量が異常よりも多くなってしまうのが呑気症です。早食いの傾向のあるは方には起こりやすい病気で、げっぷやおならの量が増えてしまうのが特徴的です。
大腸がん
大腸がんが大きくなって腸閉塞が起こることがあります。そのため、おならの回数が減ったり、数日間おならがでなくなったりします。大腸がんによって腸閉塞が生じている場合は速やかに入院治療が必要です。こうした事態を引き起こさないように、定期的に大腸カメラ検査を受けてください。
げっぷやおならでお困りの方への検査方法
胃カメラ検査

食道、胃、十二指腸などの上部消化管での異常が疑われる場合、胃内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けていただくことを推奨しています。胃カメラ検査で粘膜の状態をリアルタイムに観察し、炎症や潰瘍、がんなどの病変も発見することができます。また、検査時には組織を採取して病理検査で確定診断に結び付けることができます。
大腸カメラ検査

肛門、直腸、大腸などの消化管での異常が疑われる場合、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受けていただくことを推奨しています。大腸カメラ検査で粘膜の状態をリアルタイムに観察し、炎症や潰瘍、がんなどの病変も発見することができます。また、検査時には組織を採取して病理検査で確定診断に結び付けることができたり、大腸ポリープの切除、出血がみられる場合は止血処置など幅広く治療を提供することができます。
X線検査
腹痛が激しく、おならや便が出ないといった状態では腸閉塞の有無を検査することがあります。X線検査で腹部を撮影し、お腹のガスの状態などを観察しています。
げっぷやおならでお困りの方へ
げっぷやおならは生理現象の一つで、特に回数が多くても問題意識を持たれる方は少ないかもしれません。ただ、げっぷやおならの回数が異常に多い場合や、逆にまったくでない場合は何かしらの病気が原因となっている可能性があります。
当院では、消化器内視鏡専門医が消化器専門外来にてげっぷやおならの診察を行っています。診察を実施して必要と判断した場合は胃カメラ検査、大腸カメラ検査を提供することがあります。げっぷやおならは大腸がんなどの病気でもみられる症状でもあります。決して軽視せず、些細なことでも構いませんのでご相談してください。